デイリーポータルZとパリッコさんとスズキナオさんと
先日、大好きなデイリーポータルZ(DPZ)の「自由ポータルZ」という投稿コーナーに当ブログの記事が入選した。本当にありがとうございます!
そもそもこの『GOGOちくわうし』を始めた理由は、4月頭に開催されたDPZの新人賞に応募するためだった。
今年の春先に会社を辞め、コロナウイルスの影響で外出自粛が広がり、次の仕事をどうしようかなー……会社で働きたくないなー……と考えていた自分にとって、この新人賞開催は絶好のタイミングだった。
元々文章を書くのは嫌いではなく、前職でも公式Twitterアカウントの中の人をやったり、物語のプロットを作ったり、その他こまごまこまごまと文章を書いてきた。いつかDPZでライターとして何か書けたらいいなぁというのも何年も前から思っていたこと。
そういうわけで、この新人賞には上限である3本の記事を応募した。Web上のこういった賞にエントリーするのは初めてで緊張したが、結果の発表が楽しみだ(発表は6月中って言ってませんでした……!?)。
……と書いておいて、実は送った3本に自信はない。落選時の言い訳じゃないが、まったく書き慣れていないし、慌てて3本のネタを揃えたためDPZ向けとは言えない記事もある。
対して、新人賞に出した3本より後に書いた『三鷹市上連雀の11の橋』のほうは自信満々で応募した。これで引っかからなかったら他もないよねくらいに思っていた。なので、自分でも手ごたえを感じた記事は高く評価してもらえることが分かって嬉しい入選だった。
もし新人賞でダメでも、自由ポータルZへの入選5回で記事を1本書かせてもらえるシステムになっているので、このブログのひとまずの目標はそこだ。1本でもメディアに書かせてもらえれば、駆け出しではあっても「ライター」を名乗れないこともないし、さらに面白いことに出会えそうな予感もある。記事向けのネタストックはどんどん増えているので頑張りたい。
何だかんだでそのうち会社員に戻るとは思うが、その時に兼業ライターをやれたならこんなに嬉しいことはない。
DPZで書きたい理由は他にもあって、それはライターのパリッコさんとスズキナオさんの存在だ。お二人とも酒場にまつわる記事を中心に活躍するライターさん。DPZでも楽しい記事を何本も書かれていて大ファンなのだ。
先に知ったのはパリッコさん。確か5年ほど前、僕が練馬区に住んでいたころの話だ。
近所に美味しいお店がないかネットで探していたところ、パリッコさんの『大衆酒場ベスト1000』と運命的な出会いを果たす。
そこには、お酒とその周辺にまつわるエピソードが、優しく楽しく軽妙な文でつづられており、お店や人を悪く言わない点にすごく惹かれた。うんちくを語るでもなく、カッコつけてないのも良かった。それと、書かれているお店が僕の生活圏とひたすら近かった。
パリッコさんは西武池袋線の石神井公園駅が最寄り駅らしく、出身は隣駅の大泉学園。石神井公園と大泉学園の中間に住んでいた僕は、「この店知ってる!」「あそこってこんな雰囲気なのか……」「次はここ行ってみようかな」と夢中になって記事を読み漁った。どの記事も楽しいが、西武新宿線・中井駅の『錦山』の回、西武池袋線・大泉学園駅の『小俣商店』の回など特に傑作だと思う。
これを書く人が近所に住んでいると知り、パリッコさんへの憧憬は膨らんでいった。そして、そんなパリッコさんが気が付けばDPZでも書くようになったのだから、「いつかは一緒のステージで……!!」と望むのも当然というわけだ。
一方、スズキナオさんを知ったのはDPZで玉置標本さんが書いた『しみったれた先輩におごられるツアー』がきっかけ。男4人が順々に「ケチでしみったれた先輩」を演じ、各々が考えた方法で"後輩たち3人"にしみったれた酒をおごるという愉快な記事で、ナオさんは3番手として登場する。※もちろんですが玉置標本さんも大好きなライターです!
どの"先輩"もしみったれているが、ナオさんのしみったれぶりは頭ひとつ抜けている。屋根こそあるが、冬・雨・夜と三拍子が揃った屋外のイートインスペースでコンビニで買った謎つまみを回し食べするという内容で、PTAには絶対に見せられない内容だ。
玉置さんもナオさんとはこれが初対面だったそうで、最初はそのシチュエーションに圧倒されるも、すぐに楽しく盛り上がっていて心底うらやましい。こういう飲み方って大人になるとしなくなるものだ(大人しか飲んではいけないのですが)。はっきり言って、混ざりたい……。
その後もナオさんは玉置さんの記事でしみったれた大阪観光をするなどしていたが、パリッコさんと同様に、気が付くとDPZで記事を書くようになっていた。まぁこんな面白がりの天才を編集部が放っておくわけがない。
僕は最初、スズキナオさんを単に“面白い人”だと思っていたのだが、色々と文章を読んでいくうちに「情緒」や「雰囲気」を感じるようになった。あくまで僕が目にする範囲での印象だが、パリッコさんを陽とするならナオさんは陰。暗いというのではなく人間味を感じるのだ。
玉置さんがSUUMOタウンに書いたナオさんへのインタビュー記事で、ナオさんはこんなことを語っている。「僕がやっていた仕事はアルバイトからにゅるっと入って正社員になって、10数年働いていたんですけど、とにかく自分には向いてないことを痛感していて、怒られたり迷惑をかけたりするばっかりでした」
本人は嬉しくないだろうけど、僕としてはこういうところにシンパシーを感じる。 大袈裟なことがなくても楽しいものを見つけるのは得意で、でもどこか不安もあって、けど向上心はそんなに持てなくて……。
そんなスズキナオさんとも同じステージで何かが書けたら最高だ。願わくば、いつかいっしょにお酒でも飲めたらとぼんやり願っている。
と、今回はブログっぽいブログ記事を書いてみた。