なつかしのセロテープ銀はがしを作ってみた!意外とかんたん!
※『デイリーポータルZ』の自由ポータルZにて入選を頂きました!
大人になると小さいころの記憶がうすれていく。
修学旅行に遅刻したこと。ターザンロープの滑車に指をはさんだこと。学校の掃除の時間にいつもT-SQUAREの『TRUTH』が流れていたこと。どれもこれも忘れていた。
そして、「銀はがし」のことも完全に忘れていた。 コインでけずるスクラッチではない。セロテープではがして一喜一憂するアレだ。
これを自作できたら楽しくないだろうか? なにか重大な選択をせまられたとき、するどく自作の銀はがしを取り出して「これで決めようぜ……!」と言ってみたい。
あれこれやってみた結果、こんな銀はがしが完成した。その経緯を書いていきたい。
■まずは、ひさしぶりにやってみた
銀はがしを思い出すため、21世紀になって初めて『コロコロコミック』を購入。なにをかくそう、本屋でこれを見かけたのが今回のきっかけだ。
かつて読んでいた身としては、昔とかわらないゴチャゴチャな表紙にホッとする。
さて、昔のままだとしたら表紙をめくった先に……
これこれ! 巻頭に銀はがしがあるのもかわらない。いきなりテンションMAXなこの構成、ゴールデンボンバーの『女々しくて』を思わせる。
それでは左のポケモン銀はがしをやってみよう。まず上段の3択から1枚はがし、そこに書かれたミッションを下段でクリアする2段構成になっている。セロテープを貼って……
あっさりクリアできて笑ってしまった。
ひさしぶりにやってみて、銀をはがす感触のなさにグッときた。スクラッチは銀をけずる感触があるけど、銀はがしはセロテープの手応えのみなのだ。それと、3択は銀はがしの基本という感じがしたので参考にしたい。
それにしても、こんなに無欲で銀をはがすのは初めて。昔はなんとか当たりが見えないかライトで透かしたり、つばでぬらしたり、めちゃくちゃ必死だったな……。
なにはともあれ、目指す形が確認できてよかった。いよいよ工作スタートだ!
■材料をあつめよう!
作るまえに、ネットで手がかりをさがそうとしたが、情報のすくなさに驚いた。やっぱり大人はみんな銀はがしを忘れているようだ。
どうしたものかと考えて思いついたのが「ポスカ」と「光沢紙」。ツヤツヤの紙に濃厚な銀インクでそれっぽくできそうな気がする。
さっそく、"銀はがし作れるかもしれない運転"で街へいこう!!
……というわけで、ロフト、ユザワヤ、ヨドバシカメラをさがしたら、ポスカをふくめて4本の銀インクペンが手にはいった。
ちなみに、「布描きしましょ」はTシャツに直描きできちゃうペン。ガンダムマーカーはプラモデル塗装用。特徴のちがうこの4本でやってみよう。
■4つのペンで実験! そのおどろきの結果
それでは実験! 光沢紙にボールペンで丸を4つ描き、その中に「よし!」と書く。それを4種の銀インクでおおい隠す。うまくはがせたら「よし!」が見えるしくみだ。いきなり全成功もあるぞ。
……ハイ。はがしましたが、まさかの結果。見ていこう。
ガンダムマーカーは成功に見えるが、紙ははがれて、インクがしみて黒い文字が銀色に。ぜんぜん「よし!」じゃない。これは1から考えなおさないとダメだ……。
■印刷メーカーに問い合わせてみた
こうなったら「大和紙工業」というメーカーにダメ元で問い合わせてみよう。公式サイトで銀はがしを紹介しているし、主要取引先を見ると「株式会社小学館」と書かれている。それってつまり、コロコロの銀はがしを作ってるということでは!?
自作の銀はがしを作ろうと思っていて、銀のペンを光沢紙にぬってみたが失敗。そこで、一般人が買える材料でおすすめのモノなどないでしょうか?
そんな内容をメールフォームから送らせてもらった。
すると翌朝、着信でスマホが震えた。電話に出てみるとまさかの大和紙工業!! その方はメールを読んだうえで親切にアドバイスをしてくれた。紙様と呼ばせてください。
話によると、紙に特殊なニスを塗ることで銀インクがはがれるようになっているそうだ。なので、銀インクよりも紙をどうするかのほうが重要とのこと。なるほど。
「またなにか困ったらご連絡ください」とのお言葉に謝意をつげて通話を切った。それにしても特殊なニスか……どうしたものか。
■この手があった! いっきに解決か?
電話には感謝だが、ニスと聞いて急に「めんどくさそう」と思ってしまった自分もいる。ハケを洗うのもやっかいそうだ(スプレーのニスもあるらしいけど使ったことない)。
僕は、かんたんに銀はがしが作りたいんです!
なにか代わりにならないだろうか? はがれやすい……セロテープ………………テープ?
ひらめいたっ!!!!
紙にこのテープを貼りつければ、銀がはがれやすいツルツルの面ができるのではないか?
さっそく実験してみよう。
紙に「ヨシ!」と描き、梱包用テープでそれをおおって、その上に銀インク、と。
結論をいうと、これでも4つのうち3つはうまくはがせなかった。しかし1つは大成功。見てほしい、これがその映像だ!
このように「布描きしましょ」だけキレイにはがれてくれた。製品の銀はがしとは作りがちがうし、銀がはがれる感触もすこしちがう。でも自作としては十分じゃないだろうか?
■セロテープ銀はがしを作ってみた!
それではいよいよ作ってみよう。まずは画像から。背景はフリー素材を借り、それっぽい文字や白いマスをのせたら完成。これをハガキに印刷。
マスにペンで内容を書き、梱包用テープをはりつけ。そして「布描きしましょ」でマスをかくして乾かす。そうしてできたのが、冒頭でもお見せしたこちらだ。
その名も「最初の一杯銀はがし」。いつもなんとなくビールだけど、たまには銀はがしで決めてみるとするかぁ。どれどれ……
自分で作ったものながらニヤけてしまう。日常がみごとにエンタメ化している。ちなみに他にはハイボールとレモンサワーが書かれている。大人の銀はがしにハズレはいらない。
銀をぬりなおせば何度でもつかえるのも自作銀はがしの特徴だ。
おつぎは、マス10個のシートをお見せしよう。
明日はディズニーランド。でもアトラクションすべてを見る時間はなさそう。そんな時はこの銀はがし。個数を決めて、ひいたアトラクションを全力で楽しもう。キャストさんに「乗るのこれで決めてきました!」と笑顔で見せつけるべし。
ジャングルクルーズと汽車に乗りたかったが、結果は絶対だ。
なお、右下の銀は梱包用テープをはるのに失敗したためうまくぬれなかった。定規などでクックッと空気を押し出しながらテープをはるといいかもしれない。
ちなみに断面図がこちら。つたわるだろうか?
■応用してみた
銀はがしを応用したネタを2つほど紹介したい。
まず雑誌を用意してほしい。ここでは『散歩の達人』にしてみた。つぎに表紙に書かれた文字の一部を銀でかくすのだが、ここにしかけがある。
だから何? と言われると困るが、こんなこともできますよというネタだ。梱包用テープをはがせば雑誌は元どおり。アイデア次第でいろんな遊びができると思う。
もうひとつはこんなネタでどうだろう。
「ちょっとおまえさぁ、うどんってふざけんなよな~!」
「やーいやーい、ひっかかった(笑)」
「なんだよ。めちゃくちゃドキドキしたし……期待しちゃったじゃん……」
「え…………それって……?」
※ここであいみょんの主題歌ながれる
うおー! おじさんこういうのが観たい!!! デジタル全盛のいまだからこそ、こういったアナログなやりとりは新鮮でおもしろいんじゃないだろうか。
■まとめ
苦労はしたが、結果的になかなかの銀はがしができて満足だ。かんたんなので、なるべく多くの人にためしてもらえたら幸いだ。小学生が夏休みの工作にやるのもいいし、大人も大人ならではの楽しみかたができるはず。
ひつような道具は、Tシャツ用マーカーの「布描きしましょ」と、100均でも買える梱包用テープ。下地の紙はなんでもよく、手書きでも問題ないし、銀でなくてもいい。
衣類用ペンは他メーカーからも出ていてるので、成分が近ければつかえるかもしれない。詳細は公式サイトにて。
さいごに、サンプルとして今回つくった画像データをおいておくので、ほしい方は自由にダウンロードしてつかってください。
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END