ゲーム制作会社に勤めていることもあって、新しく美麗な映像表現はつねに興味の対象だ。
その一方、いつも心をとらえて離さないのが昔ながらのドット絵。マリオもドラクエもFFも、みんな最初は四角い点が集まったドット絵のゲームだったのだ。
そんな懐かしくて愛しいドット絵の、新しい表現方法を僕なりに考えてみた。
その名もずばり……
ベルキューブ・ドット
名前から想像できる人もいると思うが、ベルキューブの四角いチーズをドットにしてマリオを作ってみよう、というのがこの企画の趣旨。
ベルキューブは意外とバリエーションがあり、その数は10種類。味ごとに包装の色が違うので、まさにドット絵に最適なのだ(注:ドット絵に最適なのはコンピュータです)。
マリオはイタリア系らしいので、身体の中身がチーズになったらきっとジャンプするほど喜んでくれるだろう。でも皮膚がアルミ箔になるのはイヤか……。
■作るのはこんなマリオ
今回ベルキューブチーズで作るのは、1985年にファミリーコンピュータで発売されたいわゆる「初代スーパーマリオブラザーズ」のマリオ。
さて、ベルキューブを買いに行く前に、マリオの6つのポーズをエクセルに書き出して各色の数をたしかめておこう。各色の一番大きな数字を見れば買う数が分かるというわけだ。
ネットで参考画像を見つつポチポチとセルを塗っていく。基本ポーズの次は走るポーズ、ジャンプに、死んだときのポーズも、と。そして計算式を入れて……よしどうだ!
正直なめていた。
色数も少ないし、そこまで買う必要はないと思っていたが茶色なんて68個。 6つのポーズでチーズをある程度は使い回せるとは言え、1パックに各色8個ずつ入ってるから……グエーッ!
こうなると、アルプスの少女ハイジも顔をそむけるほど大量のチーズを買わなくてはいけないが、もう後には引けぬ。初代スーパーマリオのマップはゴールに向かって右に進むことしか出来ないのだ!
■スーパーでベルキューブGET! そして整理
必要な数が分かったところでスーパーへ。
今回必要なパックは「チーズ好きのためのセレクト」と「イタリアンセレクト」。
「セレクト」と聞いてもセレクトボタンしか思い浮かばないファミっ子の僕だが、今日だけはオシャレなベルキューブをたっぷり購入だ。
なお、レジに10パック以上持っていくのはなかなか恥ずかしい。
店員さんに「ジローラモさんの還暦祝いかしら?」と誤解されそうな量だが、ジローラモが還暦を迎えるのは今年の9月6日の誕生日です(現在59歳)。
さて、ベルキューブが手に入ったので“ドット”となるチーズを色ごとに整理しておこう。色ごとにまとめておくことで、後で扱いやすくする作戦だ。また、向きがバラバラなので牛の顔が正面を向くようにしておく。
よし、近未来のクローン牧場って感じでなかなかいいぞ。だいぶ怖いけど。
こうしてみて初めて気づくこともあって、この牛(名称:ラッフィング カウ)には表情がいくつかあることを発見。両目開き、右目ウインク、左目ウインクがあり、両目開きは舌が出ている。ぜひ実際の商品で確かめてみてほしい。
■いよいよ配置スタート
下準備も終わって、ようやくベルキューブマリオを作り出せる!
本来のドット絵はデジタルそのものだが、こちらのやり方はめちゃくちゃアナログ。白い紙に“あたり”の線を書いて、それを目安にチーズを1つ1つ手で置いていくだけ。
この下敷きを緑の紙(いわゆるグリーンバック)にすると、あとから画像の切り抜き処理がしやすいが、アルミ箔に緑が映り込みそうだったので白い紙をえらんだ。
チーズ置きだが、やってみると意外と順調に進む。
ただ、たまにボーっとしてチーズを落としたりすると、他のチーズに当たってせっかく並べた牛たちがバラバラに逃げ出して油断できない。
■完成! これがベルキューブマリオだ!
そんな苦労はありつつも、3時間ほどで6ポーズのベルキューブマリオが完成した。
ただ、さきに言い訳をさせてもらうと、色がぜんぜんマリオじゃなくてですね……。
赤は良いとして、問題は他の色。
買ったチーズの都合で茶を青チーズにした結果、引退して20年経ったキャプテンアメリカみたいになってしまった。黄チーズを使うことも考えたが、並べてみると銀チーズとの違いが分かりづらくて泣く泣くボツにした次第だ。
そんな前提の上で、これがベルキューブマリオだ!
※スーパーマリオブラザーズメドレーを聴きながら画面を下にスクロールしてください
このように「めちゃすごい!」というものでは無いが、下のようにGIFアニメだとそれっぽく見えないだろうか? 見えないという方は、もう少し画面から離れてもらえたら……。
■応用してみた
せっかく出来たベルキューブマリオなので、色んな場所で動かしてみた。
■まとめ
ベルキューブが実写なので、思った以上に風景とのなじみが良いベルキューブマリオ。ラーメンのGIFなんて、パッと見は実際にそういうオブジェがあるかのようだ。
きっと行列に並ぶ人たちの頭を跳びはねても面白そうだし、ハイエナの群れに追われても面白くなるだろう(残念ながらハイエナの群れの映像がGW中に撮れませんでした)。
とにかく、可能性は無限大といったところか。
ベルキューブに限らず、四角くて色の種類があるものはドット絵の素材にできる可能性を秘めていると思う。身近にそういうモチーフを見つけた方はぜひドット絵にチャレンジしてみてほしい。なお、賞味期限がないものの方がプレッシャーが少ない。
終わり