大うし展

のんびりと草など食べています

オモコロ杯2022の受賞作を見ていく ~銅賞編~

オモコロ杯2022

 

chikuwa-ushi.hatenablog.com

上のエントリーでは「オモコロ杯2022の受賞作を見ていく」と題して、優秀賞・金賞・銀賞の作品について長々と書かせていただいた。このエントリーでは銅賞作品すべてについて感想を書いていきたい。

もちろん褒めていくのだが、物足りなさを感じた点も書いていくつもりでいる。銅賞作品は銀賞以上と比べると(僕のも含めて)成長の余地を残していると思うからだ。心苦しさもあるが、さらに良い作品を作ってもらいたいというエール&愛情表現として受け取っていただけたら幸いだ。

また、感想はあくまで僕個人が感じたこと。読み手の皆さんはなるべく「ここに書いてあったから……」とかは考えずに自由に読んでもらえたらと思います。

 

それではいってみます!

 

 

 

セブンイレブンの一番風呂レシートを狙う

go-went-gone.hatenablog.com

作:りきすいさん

フォロワーのりきすいさんが2年連続の受賞で嬉しい。
昨年の『公園の奥行き』が好みで、今年はどうくるかと思ったら、だいぶ毛色の違う作品だがこちらも面白かった。ブログタイトルの『りきすいの郷(さと)』もじんわり好きだし、りきすいさんのセンスが好きなのかもしれない。
Twitterでレシートを集めているところから見ていたが、こういうことだったとは。

記事のテーマは「その日一発目の買い物をすることで、伝票番号の下2桁が“01”のレシートを獲得できるはず。ぜひ見てみたい」というもの。ところが、番号のルールはそんなシンプルなものではなく数字に翻弄され続ける。執念とも言えるような追求が続くが、記事を書き終えた時点ではその執念は実らず……!

原宿さんが「ただ結末がハッキリしないのがなー!!!!めちゃくちゃ惜しい。」と言っていたり、僕もシュゴウさんの記事への感想で「やってみた系は結果が良いことが大事」と書かせてもらったが、その点がなにしろ残念!
あとは、レシートのどこを見ればいいか画像によっては分かりづらかったので、集中線やアンダーライン、矢印などでの補足がもう少しあっても良かったかもしれない。

同じく銅賞にトイレットペーパーの芯の謎にせまる記事があるが、ある一つの対象にじっくり迫っていく記事には独特の魅力がある。

 

 

びっくりドンキーの!の活用

note.com

作:小木の素さん

僕の中では良い意味でオモコロ杯らしい記事という印象。今大会はすこし難解な記事が多かった気もするので、こういう直球ストレートな記事が入賞しているとホッとする。

ほんわかしつつも、ずっと粗削りでカオスな展開。活用と言いつつなぜか「!」の片付け方の紹介が延々続き、最後の最後でちょっとした活用が紹介される。
それにしても人間、気にしないと目に入らないものだ。びっくりドンキーのロゴはもちろん知っていたが「!」には今まで気が付かなかった!

こういう記事を読むと、どこまで初期段階まで構想を練っていたんだろう? というのが気になる。とりあえず「!」を作ってみようとだけ思ったのか、その後の片付け方まで考えていたのか。そういう制作秘話みたいなものを知りたいので、受賞された皆さんにはそういう振り返り記事を書いてもらいたいところ。

 

 

・お、おい、やべぇーぞ!新潟仕込みせんべいの表面を机に乗せて横から撮ったら火星にしか見えねぇ!

note.com

作:か関合う介さん

今回のすべての受賞作のなかで、僕が一番笑ってしまったのはこの記事。
お笑いとかでも、しょーもない顔芸みたいなのがすごくツボなのだ。顔の横に大きく「?」が付いてる画像とか噴き出してしまった。
後半から登場するGIFアニメもすごくくだらないんだけど、どうしても笑ってしまう。

この男性の写真はフリー素材らしいが、この写真でもう2記事くらい書いて味のなくなったガムにしてほしい。

 

フリー素材といえば、オモコロにもオモコロ杯の応募作にも重宝されている『いらすとや』だが、使わずに済むのであれば使わない道を検討しても良い気がする。便利で差し障りが無いのはメリットだが、個性や味もほぼ感じられないからだ。
この記事でもちょこちょこ使われているが、主役(?)の男性が実写なので他の人物もすべて実写にした方が統一感が出て良かったかもしれない。

そこまで上手ではなくてもイラストを描くことに抵抗がない人は、自分で描いたほうが10倍くらい味が出て良いと思う。僕も安いペンタブレットを買って、上手くはないが記事用の挿絵は自分で描くようになった。難しければ、フリー素材やポーズ集をなぞって描いても雰囲気は出る。

意図が伝わらないイラストでは困るが、伝わるのであれば自作のほうが個性も出せるし、他記事との差別化もできるはず。

 

 

【就活生必見】内定をもらうためにギャルになった

nanashinanashi.hatenablog.com

作:冬野冬子さん

金賞の『デカデカビタC』にもギャルが出てきたし、他の銅賞にも『【チョベリグ】令和を生きるウチが90年代のギャルになっちゃったんだけど!?』があるし、オモコロ杯のギャル率はどうなっているのか?
あの世に行く展開も『大調査!あの世の新常識』に続いて2つめだし、ギャルとあの世が飛び交うコンテストは普通にヤバさがある。

女性がオモシロ記事を書こうとしたとき「そうだギャルになろう」という選択肢があるのはシンプルにうらやましさがある。ギャルってやっぱり独特な魅力とパワーがあるので。
そのギャルのパワーに引っ張られて、記事自体も異常なパワーに満ち溢れている。女性の記事でここまでハチャメチャなのは珍しいのでは?
そしてロケーションの良さ。海も空も公園も庭も広くてうらやましい。精神統一させてくれる寺いいな。

すこし残念なのは、PC画面のキャプチャ画像など文字がかなり小さくて読みづらい点(この記事に限らず、PC画面を挿入している記事はなぜかほとんど文字が小さかった……)。
それと、ピンクの髪を加工するくだりなど “とにかくぜんぶ書いちゃってる” 印象なので、もうすこし省けそうな気がする。削る勇気。髪を加工して何をするかが大事なので、工程はサラッとで良いかと。

ブログタイトルが『尻』で、今のところこの記事しかないのがジワジワくる。

 

 

ガンプラを食う。

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作:おがくず/小笠原健太さん

僕も1stガンダムが好きでガンプラもいくつも作ってきたのでテーマ的に引き込まれるものがある。記事もよく出来ていて、原宿さんが言うようにGIFアニメも作り慣れてる感がすごい。こういうの自在に作れるようになったらいいなぁ……。技術って強い武器ですよね。途中でいちど型抜きに失敗しているのが展開として◎。

私野 台詞さんへのアドバイスにも書いたが、“動機で嘘を書かないほうが良いんじゃないか” というのが個人的な考えだ。なので「ガンプラ食べたいなぁ」みたいな無理矢理なものより、「シュガーガンダムを作って、いきなり食べて驚かせたい!」みたいなもので良い気はする。
その時、たとえば友人にも参加してもらい、普通に作ったガンプラを見せておいて一度退席してもらう。そして戻ってた所で砂糖ガンダムをおもむろに食べ始める……とか。第三者のリアクションが見られたらまた違う面白さがある気がする。

おせっかいな意見でほんとうにすみません。ククルス・ドアン良かったです。

 

 

・トイレタンクで新年度からの生活を豊かにする

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作:インターネット性善説ドラゴンさん

『デカデカビタC』の華美たパンさんに続いて、この方も僕の中ですごく好きな顔。友達にいてほしい顔だ。記事のタイプも近くて、良い意味でオモコロ杯っぽいおバカな記事。

そして、とにかく力作。手間がすごい。トイレタンクを買うのもすごくて、よく実際に買おうと思ったな……。めちゃくちゃ邪魔だろうけど、部屋の角に置けば意外としっくりくるのかな。とにかく、今後知人の家に行ったとき、トイレタンクが部屋に置かれていても驚かなくなった気がする。「あなたにとっての『トイレタンク』はなんでしょうか?」やないねん。

記事がかなりボリューミーなので、縦幅を抑えられる画像はそうした方が良さそうだ。1つの写真の縦幅が大きいと、ひと目で入ってくる情報量が減ってしまうので、そういう点でも横長のほうがオススメ。今より引きで撮っておくとトリミングがしやすいはず。画像とその前後の文章もしっかり見えていた方が、読むストレスが少ないと思います。

 

 

・じゃんけんの手を30手に増やしてみた

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作:作っちゃうおじさん

記事のタイトル的にすごく面白そうだなと感じた作品。タイトルを見た多くの人が同じように気になったのではないだろうか?
ところが、いざやってみると不穏な感じのアドベンチャーゲームが始まって「???」となった(みなさんもぜひやってみてください)。

↓ ゲームURL
https://hothukurou.com/game/Janken/index.html

受賞記事はこのゲームとは別の「その勝ち負け判定方法を数学を用いて解説してみた」というものだが、プログラムの話と数学の話が続くので読み進めるのはすこし大変ではある。

それとは別にゲームの振り返り記事もあって、ここでは「じゃんけんの手を30手にしても別に面白くならない」と自ら語っていたり、全体的に妙な面白さとカオスに満ちている。

hothukurou.com

そのカオスこそがオモコロ杯的でもあり、銅賞の選出理由「なんかわからんけど未来を感じるあなたへお送りする賞です」にふさわしい作品なのは間違いない。
サイトでは他にもGIF画像を自在にゆらすプログラムを作っていたりして、「やるな、作っちゃうおじさん」と言いたい。

 

 

・八尺様向けキーボードを開発しよう!

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作:ヨードホルムさん

八尺様というのはインターネット生まれの怪異(口裂け女的な)だそう。その名の通り身長八尺(約2.4m)の女性で、「ぽぽぽぽぽ」という特徴的な声を発するらしい。
記事では、「ぽぽぽぽぽ」としか声を発しない八尺様はキーボード入力するときは「P」と「O」しか打たないはずと仮定し、キーが極端に少ないキーボードを作成することに。

出来上がったキーボードは笑っちゃうミニサイズでインパクトがある。あっさり読める文体に記事のボリュームも良いと思った。

ただ実はこのキーボード、よく見るとCGなのだ。キーボードだけじゃなく材料も八尺様もCGであることに気付いてしまうと、捏造されたUFO動画のようで少しガッカリしてしまう。恐山さんが他の記事へのコメントで「ウソは記事の可能性を広げるけど、読者の興味を削ぐ可能性も高める諸刃の剣」と言っているが、この記事にもそれが言えそうだ。

やっぱり実物のパワーって強くて。これが実際に工作で作ったなら「すごい!」となっただろうし、なんなら商品化もいけるかもしれない。「ざわざわ」だけ入力できるカイジ用キーボードとか色んなアレンジもできるし。
巨大な八尺様も(たとえ造形が荒々しくても)人間が演じていたならまったく違う味わいがあっただろう。

技術力が高いのは間違いないと思うので、実物の代用ではなくCGならではの魅力が発揮された記事も読んでみたくなった。

 

 

・カラス人間は苦労する。

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作:カブトムシ三太夫さん

良い意味で荒々しさがあり、オモコロ杯銅賞っぽい勢いのある記事。

最初から最後まで意味は分からない、というか意味などないんだと思う。やっていることを挙げていくと、着替えて、手足の動きを確かめて、いったんCMに入って、座禅を組んで、Y字バランスをして、ねるねるねるねをバカっぽく作って食べて、トイレに行くだけだ。それだけだが、意味不明も一貫するとその“一本”が刺さる人もいるわけでそういう話って夢があるじゃないですか。

ジャンルとして同じようなハチャメチャ系の応募作は他にもたくさんあったが、ハチャメチャであることが伝わりやすかったというか。「この意味が分からないこっちが悪いのかな……?」みたいなストレスが無いのが良かった気がする。

カブトムシ三太夫さんはたぶん若い人だと思うけど、そこまで若くはない自分にはこういう記事を作る発想もパワーもすでに無い。何かをやるのに遅すぎることはないと言うけど、やっぱり若いうちに書き始めることのメリットはあると思うので羨ましい。

 

 

・留年したくないのでスマブラリトルマックで卒論を書いた

toiharuka.hatenablog.com

作:といはるさん

リアルな大学生活の描写から始まるノンフィクションと思わせて、徐々にフィクションの色が強くなっていく小説。どこまでが本当でどこからがフィクションか、作中の単語をGoogleで検索しつつ最後まで楽しく読み進められた。

僕はいちおうゲーム業界の人間なのでもちろん『スマブラ』は知っているが、オモコロ杯応募作としては『スマブラ』やリトル・マックの説明がもう少しあると親切かもしれない。ちなみに、作中に“トルマク族”という架空の部族が登場するが、トルマクとはリトル・マックの略称(のひとつ)。

ペルーへの移動パートのみ写真が挿入されるが、大学やアマゾンでの描写にも(フリー素材写真でいいので)イメージ写真があったほうが全体的に彩りというか雰囲気が出た気もする。
アマゾンに着いてからの写真が難しいのであれば、たとえば「常にカメラを回していたが、遭難と同時にカメラが壊れてそれ以降は映像が残せなかった」みたいなもっともらしい理由をつけても良いのかも。

そういう細かい点はともかく、“リアルと思わせてフィクション”という手法はすごく面白かったので、また他の作品も読んでみたい。

 

 

・意味も無く溜め続けたトイレットペーパーの芯が345本に到達した

hassium277.hatenablog.com

作:チオールさん

超力作。冒頭の写真がとにかくキャッチーで、身近なトイレットペーパーがテーマということもあって引き込まれるように読み始めてしまう。

一人暮らしって住人の生き方がそのまま反映されるから、実家にいたころには思いもしなかったこういう変な収集が始まったりしますね。

記事はボリュームがあり、芯の細かい変化や違いを執念で解き明かしていく構成なので正直すこし退屈に感じられなくもない。が、箱に詰めてみたら信じられないくらいピッタリ収まったり、合間合間にインパクトがあって面白い。

記事の最後に「追記」という形で、これまでに来たコメントに対して返信をしているのだが、ここに作者の人柄というか考え方が出ていて良かった。
たとえば、「不衛生では?」というコメントに対しては「そうですか?」とバッサリ。僕もトイレットペーパーの芯が部屋に転がっていてもべつに気にならないタイプなので、こういう返しは好きだ。
また、「製造会社に直接聞けば?」というコメントに対しては「こんな(相手にとって)どうでもいいことの為に他人に時間を使わせたくない」という理由で「聞きません」とこれまたバッサリ。
オモシロ系記事において、“製造元に聞いて答え合わせをする” 行為は正解として語られがちだが(僕も黒糖まんじゅうの記事に対してARuFaさんに「山崎に理由を聞くと面白記事として強度が増しそう」とアドバイスをもらった)、それをこのように切り捨てるのは気持ちいい。そうかもな、と思えた。

 

 

・仕事のやる気を上げるためにofficeソフトを楽しくしてみた

izukosan.hatenablog.com

作:いずこさん

すごく面白かった。僕も仕事でExcelなりスプレッドシートなりを使うので、普通にアイデアに感心してしまった。記事のボリュームもほどほどで、読み疲れることがなかった。カービィのネタなんかは、透過画像を1枚用意するだけで出来るしやってみたい。なんなら後輩とかに教えて軽くドヤりたくなる魅力がある。

オモコロ杯にはついつい「オレを評価してください!!!」の前のめり姿勢でボリューミーな作品を送ってしまいがちだが、このくらいで良いんじゃないのかな~と思わされる。
あえて言うなら、人物の画像は似たアングルが多いので、そこにもう一工夫あるとさらに良かったかもしれない。

 

 

・ランチパックベスト100

note.com

作:クワハリさん

中間発表でも取り上げられていたこちらの作品。とにかく100種類というのがすごい。
オモシロ記事界において食べ比べはメジャーなテーマだが、100種類をやりきるのは簡単ではない。僕も「東京で買えるみそ柏餅」を紹介する記事を書いたことがあるがたったの12店舗だった(売っている期間が短いのでこれでも大変だった)。

現状だと100位から1位まで並べているだけなので、たとえば甘い系TOP10とか、おかず系TOP10のようにジャンルごとの順位も出すと情報としてはありがたいか。また、100個を分布図に表しても良いと思う。各ランチパックにカラオケの採点のように得点がついていても何となくそれっぽくなる。
データとしての面白さが増すと、さらに素晴らしい記事になる気がする。クワハリさんは現在じゃがりこを100種類食べるチャレンジをやっているので、もし記事にされるときは参考のひとつにしてもらえたら。

 

 

・【バリ島物売りVSイエスマン】声かけてくる人全員にイエスしか言わなかったら秒で破産しました

www.youtube.com

作:バリ島旅行のみかたさん

動画ということで観るのを後回しにしてしまったが、見始めたら面白くてあっという間の9分だった。おばちゃんからいきなり「20万!」と言われたところで笑ってしまう。
気がつくと大量のおばちゃんに囲まれ、髪を結われ、要らないアクセを付けられ、「オバチャンノビジネス」とお金をせびられたり。まさに異文化。

内容はそれだけのシンプルなものだが、知らないカルチャーを紹介できるというのはすごく強い武器だということだ。海外の文化に限らず、まだあまり知られていないスポーツや趣味の世界でもこういう魅力ある紹介はできると思う。

動画作品というと、めちゃくちゃ時間をかけて作るイメージがあるが、この動画はそこまで凝った編集もしていないし尺も短い。言わばアイデア勝ちだ。そういう点でも来年以降に動画作品での応募を考えてる人のヒントになるはず。良きでした。

 

 

・【実録】水責め5日間~鍾乳洞・廃墟・そしてナ●シカ~

note.com

作:safari野郎さん

中間発表のときに読んで、面白いなと思った漫画作品。我が家も上の階からの漏水に困ったことがあるが、その時はすぐ治まって事なきを得た。

こちらの漫画は話も面白いが、絵が可愛らしくて主人公(=作者)のキャラクターにマッチしているのが何より良いと思う。ボンテージAmazon、上の階の者、大人用オムツとネタも盛りだくさんで言うことなし。管理会社の人の “悪い人じゃないけど無能な感じ” もあるあるで良かった。

中間発表で審査員さんが「これだけ面白いルポが描けるならパロディに頼らなくても成立すると思います!」言っているが、こちらは同意。とくに、パワーのある実話には不要かも。でもパロディって入れたくなりますね。バランス難しい。

 

 

・3Dスキャナーと3Dプリンターで水中マスクを作ってナマズを獲る

fabcross.jp

作:YapFabさん

こちらも中間発表で取り上げられていた作品。
読みやすく、工作も上手だし文章も書きなれた人のもので安心して読み進められた。銅賞なのはオモコロ杯だからであって、別のコンテストならもっと高い評価な気もする。

中間発表では「せっかく作ったので顔の3Dデータで無駄な使い方を楽しんでみるなどすると、さらに記事が面白くなりそうと感じました!」と言われていたが、逆にオモコロ以外では蛇足な気もするし、今のまとまりの良さで十分面白さがあると思う。料理もすごく美味しそうで良かった。

僕も水泳をやるので、使う人にピッタリなオーダーメイド水中メガネは気になる。それにしても、iPhoneが3Dスキャナになるとはすごい時代だ。

 

 

トミカと都こんぶは少しだけ似ている

作:とりもちうずらさん

こちらの作品は、デイリーポータルZの「自由ポータル」でもう一息だったのがオモコロ杯で受賞したもの。僕の黒糖まんじゅうと同じパターンだ。

dailyportalz.jp

この記事もそうだが、とりもちうずらさんは着眼点が良く、工作も器用だしすごい才能! 自由ポータルでは「若干、冗長かも」とアドバイスされていたが、オモコロ杯に応募するにあたって調整したんだろうか?
オモコロ杯の振り返りで審査員に「文量も長くなりすぎず、ちょうどいいですね。」「オモコロ杯はカロリーを削っていく時代に入ったのかもしれないですね。」と言われているし、僕も冗長な感じは受けなかった。調整したとしたら大成功だと思う。

記事を読み進めていて、先輩が都こんぶを食べたところで唾液がドッと出た。

 

 

・ゾンビとおじさん

note.com

作:猪原秀陽さん

ゾンビものは映画も漫画もゲームも好きなので楽しく読ませてもらった。ゾンビ作品は無数にあるが、まだこうやって新しい発想の作品が生まれてくるのがすごい。

物語の中盤で他のコミュニティに移り住む流れや、変わり者の学者肌がそのコミュニティを離れるくだりなど、世界崩壊モノで定番の展開は押さえつつ、後半は独自の展開を見せて、「なるほどそうきたか」なエンディングを迎える。
個人的に「ゾンビになることによる苦痛ってないのでは?」「もしゾンビが蔓延したらゾンビになってもべつに構わない」と思ってるタイプなので、この展開は好み。

絵柄はものすごく上手という感じではないが、作風にあっていて魅力的。

 

 

・【チョベリグ】令和を生きるウチが90年代のギャルになっちゃったんだけど!?

nodoameya.hatenablog.jp

作:脳乃あメさん

Twitterのフォロワーとして、オモコロ杯への意気込みや大量のテレカをどう使ったら良いか? と悩むところを見ていたので、こうして受賞して無事に昇華できたのを嬉しく思う。

タイムスリップ系の企画はわりと多いと思うが、これは “時代はそのままで自分だけ90年代のギャルになって渋谷に移動してしまう”  という内容。ただ、ぼんやり読んでいるとその設定にしばらく気づけないかもしれない。早い段階(eggポーズの辺りとか)で「私だけ90年代ギャルになってね~!?!?」的なセリフがあっても良いかもしれない。

Web記事を人は基本的に一字一句熱心には読んでくれないし、見返してもくれない。よく分からないと思ったらページを閉じてしまう。書き手が思ったような構成上の仕掛けはなかなか意味が通じなかったりする。なので「何をやっているのかその場その場で分かる」ほうがメリットは大きいと思う(それを頭の片隅に置いた上で、どこまでどうひねるかが腕の見せどころ)。

トンデモ展開の記事と思わせて、デコ電を作ったり渋谷のMAPを記事の展開に合わせて用意したり芸が細かいのはすごく良いと思った。「生存おめ~!」「ニュウい」「ウェイ」などところどころでセリフも冴えている。

あっ、ぼんやり読んでいて最初は気づかなかったが、行きも帰りもトロール人形が叶えてくれたということか!? 理解!

【あとがき】で制作秘話を書かれています。

note.com

 

 

・完全理解! 密室殺人のひみつ エドワード・D・ホックから始める密室ミステリ入門

darksister.hatenablog.com

作:くらやみお姉さんさん

発表直後に記事を開くも、ボリュームに負けて数分後に閉じてしまった怪作。
そしてあらためて読んでみたが……やっぱり長い! 面白いとは思うが長い! 紹介された物語はどれも興味深くて読みたいと思えた。それだけに長さをふくめて残念な点がいくつか……!

どう長いかというと、たとえば序盤にホックの代表作「サム・ホーソンの事件簿」シリーズが紹介される。そして総計七二話の中からおすすめの三話を紹介してくれるのだが、その紹介に入るまえにすでに『有蓋橋の謎』『投票ブースの謎』『古い樫の木の謎』という別のタイトルが話題として出てくる。合計六話なのだ。そうなると後から紹介された三話も頭に入りにくいし、情報としてやや散漫になってしまう。

この三話の紹介が終わったところで、ようやく記事のテーマ・目的が書かれる。
「本稿では、これまで為されてきた密室殺人の研究を概観的に整理して、密室トリックの原理を系統別に整理する。そして、ホックの小説が密室トリックを具体的にどう用いているのかを、自分なりに説明してみようと思うんだ。」
読み手はホックの作品紹介が続くと思っているのでここで「えっ?」となってしまう。なので、記事のテーマは冒頭に書いたほうが誤解がなさそうだ。

そして密室トリック分類についての詳細な解説があった後のここも気になった。
「わからないところがあった場合は、〈サム・ホーソンの事件簿〉をひととおり読んだうえで、以下の集計結果を参照して、項目に対応するホックの作例を確認してください。本稿がいったいなんの話をしていたのか理解できると思います。」
本を読まなくても分かった気にさせてくれる(その結果、読みたくなる)のが入門だと思うので、「わからなかったら本を読んでください」と言われるとつらい……!

「大半のトリックの作例があるので、〈サム・ホーソーンの事件簿〉を研究すれば、密室ミステリを書くための基本的な技術は身につくと考えていいはずです。」
ここも、密室ミステリの楽しみ方を教えてくれると思って記事を読んでいるので、「書くための基本的な技術が身につく」には戸惑う……! 自身もミステリの書き手である、くらやみお姉さんさんの熱い想いが溢れちゃっている気がする。

最後に写真について。
ピントの合っていない写真が多く、表紙の細かな文字が読みづらく残念だったのでそこは一工夫あると良いかと。またペンギンは大事な相棒だとは思うが、本を紹介するときは無理にペンギンを入れずに、素直に本を大きく明るく見せてはどうでしょう?

色々と不満を書いてしまってほんとうに申し訳ないが、くらやみお姉さんさんが伝えたいことはそのままに、もう三段階くらい噛み砕いて書かれていたら広く読まれる魅力があるのは間違いないと思う。

 

 

・漫画のキャラの地元を特定したい! ~「明日、私は誰かのカノジョ」ゆあてゃ編~

note.com

作:無限テディベアさん

ほんわか楽しく読めた。
これもいわゆる “結果が良いやってみた記事” で、「特定したい!」で見事に特定が出来ていて、読後感が良くなっている。「特定できませんでした」の記事は読みたくない!

内容的にはシンプルで、漫画内の風景を元にそこがどこの土地なのかを探っていく。駅名標を元に群馬に狙いをさだめるあたりにシビれる。自分も好きな漫画で同じようなことをやってみたいな、と思わせる展開だ。

いわゆるオモシロ強度みたいなものを上げるとしたら、“ゆあてゃと同じ服装をして漫画を再現” なんかが考えられるが、今のままでも十分面白いし満足度は高い。

 

 

・快活CLUBのドリンクバーにはアクエリアスがある

rainbowroad150cc.hatenablog.com

作:バームクさん

タイトルにすごく惹かれた作品。たしかに、どんなファミレスやネットカフェでも今までアクエリアス(スポーツドリンク)を見かけたことがない。

記事では実際に複数の店舗でアクエリアスが確認できたことを皮切りに、公式Youtube内の店舗ではアクエリアスのボタンが映ってないのを見つけたりと横展開を繰り広げる。最終的にはなぜか2リットルのアクエリアスを買って快活クラブに乗り込み、ポテトとの相性を確かめてはギャルに説教(?)。

ぼんやりしていたら気づかないような小さな違和感を元に、読ませる展開に膨らませた良記事だ。

 

 

・“いこか”という動物に、さよならを

作:佐野中庸さん

不思議な味わいのある作品。

幼少期に読んだ『ぼちぼちいこか』という絵本の主人公をずっと “いこか” だと思い込んでいた佐野中庸さん。ところが、大人になって読み返すとどう見ても主人公はカバ。自分はなぜカバを “いこか” だと思っていたのか? その謎を解き明かそうと試みる。

ノスタルジーとユーモアが混じり合って記事の雰囲気は終始良い。文章にも細かなユーモアが利いている。数は多くないがGIFも味わいがあって効果的だ。「カバです」の画像も良かった。終盤、ついに翻訳前の英語版を手にして勘違いの謎が……!!

起承転結がしっかりあってとても楽しめました。

 

 

・「あ~ん」収集と、その観察

note.com

作:タイツマンさん

始まり方がすごく好きな記事。動機の脈絡のなさをストレートに書いていて、「まあそういう日もあるよね」と頷かされる。テーマ的にもベルキューブ一本で押し進めた僕の記事と似ていなくもないので親近感もある。

審査員には「前半と後半でリアリティラインが変わるのが惜しかった」と言われているが、では後半どうしたら良かったかというとあんがい難しい。作者も「用途は特にないですし、思いつきもしません。」と言っている。

あえて遊ぶとしたら、街中の看板や既存の書籍に「あ〜ん」を重ねて大喜利的に変な文章を作り出す、とかだろうか? 『あ〜ん人間失格』『あ〜ん赤毛のアン』的なボケが生まれるわけだが、これも上手くやらないとスベる感じがする。

ネタによってふさわしいボリュームや収まり方があると思うので、変にいじらず今のままで良いのかもしれない。

 

 

プッチンプリンをもてなしたかった

nuribotoke99.hateblo.jp

作:ぬりぼとけさん

50年間その美味しさで人類をもてなしてくれたプッチンプリンを逆にもてなそう、ということで、プッチンプリンがぴったり収まる朱い漆器を作りあげていく。出来上がった漆器は売り物かのような出来栄えでお見事としか言いようがない。

『八尺様向けキーボードを開発しよう!』のところで「CGより実物がやっぱり強い」と書かせてもらったが、まさにその通りといった雰囲気。

ただ、制作過程の説明がものたりなくて(配慮だと思うが、詳細を横線で読めなくしている)逆に完成品がCGっぽく見えてしまっている気がする。完成品の紹介があっさりしすぎていて、せっかく手作りした作品の良さを伝えきれてない気がするのだ。

あまりに専門的な描写は避けるのが親切だし、「作り方」だけの文章を横線で消すのも◎だが、作ってる途中で感じたことはもっと書いても良いのでは? もてなすために作ってるのだから想いがあるはずで、そういうパーソナルな部分に面白さがあると思うので。

これだけの品なのでもっと寄った写真がいくつも見たいし、回転するGIFなんかがあっても見栄えがしたかもしれない。

 

 

・ベルキューブマリオが走る!跳ぶ!

chikuwa-ushi.hatenablog.com

僕の記事ですが言及しておきましょう!

振り返り記事では「自分の作品に敬意を!」なんて偉そうなことを言っておいて、じつは完成度の低さが恥ずかしくて応募後に一度も見返せていなかった。

でも、これを書くために読み返してみたら、まぁ笑えるところもあるし持ち味は出せているような気がする。でもとにかく短い。短さに笑ってしまう。たぶん1.5倍の長さでもぜんぜん苦じゃない長さですね。
あと、僕の記事はどうしても “まじめな人がふざけてる” 雰囲気になってしまうので(本当にまじめかどうかは別として)、もう少しはじけた感じが出せたらなと思う。

次回のオモコロ杯に応募するかはまだ決めていないが、出すとしたら『丸太で門をぶちやぶってみた』でいきます(いきません)。

 

 

・でっかいアポロを食べたい!!

note.com

作:マジ万次郎さん

タイトルのままの内容で、たくさんのアポロチョコを溶かし固めて大きなアポロチョコを作るという企画。同じ企画自体はネットでチラホラ見たことがあって、調べるとはじめしゃちょーなんかも動画を出している。

そんな中でこの記事はどこが良いかと言うと、「屈託の無さ」な気がする。あと、型の作り方の “しっかり計算してる感” と “そうでもないかも” のバランスが良い。途中で形がゆがんだりはするが、「お、成功しそうじゃん」と思えるのは大事(調理系の失敗や食べ物の無駄遣いって見たくないので)。はじめしゃちょーの方が無駄遣いしてる感が強い。

ラストのマッチョ編は、登場シーンを冷蔵庫のドアをゆっくり開けるGIFにするとか、一工夫あっても良かったかもしれない。あるいはマッチョではなく、アポロチョコのうさぎ(アポロちゃん)にして「召喚してしまった」とか、アポロチョコらしさのある展開でも。

 

 

・じっくりと聴く、まいばすけっとのジャズ

note.com

作:JPさん

興味深いテーマの記事。
まいばすけっとを利用する機会はすくないしジャズもほとんど分からないが、スーパーなどで流れるBGMは気になるタイプなので面白く読ませてもらった。

ジャズオタクであるJPさんは数店舗のまいばすけっとを利用するうちに、そこで流れるジャズの傾向をつかむ。問い合わせることによって答え合わせをし、さらに何店舗も巡って、BGMの謎に迫っていく――といった内容。
結果として明確な答えが出ているわけではないが、読み手としてもそこに重きは置いていないので、JPさんが満足していることがこちらの満足になっている。

「どことなくキャンシステムの気配を感じる」「めちゃええ感じやんけ」「判別が難しいの来たな…」などなど、楽しみながら謎に迫る様が良い。自分の得意ジャンルの謎を解き進める探偵って感じで良きです。

 

 

・T地区

note.com

作:室長さん

振り返りで審査員の皆さんに構成を褒められていたので楽しみに読んでみた。なるほど! 怖い話かと思わせての後半のどんでん返し。確かにこの展開は現地に行ってみたくなる。
ちなみに僕は冒頭に書かれていた “与太話” の意味について改めて調べてから読んだので、何かあるんだろうなという心構えはできていた。

そういえば、ホラー系記事の応募が増えていることが審査員から語られているが、それによって受賞のハードルが上がるわけではないと思う。応募数が多かろうとグッとくる面白さがあれば受賞をするし、魅力が弱ければ応募数が少なくても落選するだろう。
なので、自信のある方は “倍率” など気にせず応募すれば良いかと。

 

 

・走り込みの掛け声はブルガリアの民謡に似ている

note.com

作:ヒルさん

ずっと何言ってるんだ!? という感じで笑ってしまう記事。
記事作成の前段階、走り込みの掛け声の情報を集めているツイートも見ていてコメントを返したのだが、まさかブルガリア民謡と比べられることになるとは……!

結果的に記事を数回読んでも僕にはあまり似てるとは思えなかったのだが、専門家からの話を元にグイグイと「似ていますよね!?」に持っていく展開が面白い。ヒルさん自身の声のボリュームがかなり小さいのも面白い。『AKIRA』や『攻殻機動隊』の手書きイラストもすごく味があって、そうそうこういうのが見たい! という感じです。

ヒルさんは去年のオモコロ杯2021で、ノルウェーがテーマの記事で銅賞を獲得している。ノルウェーに続いてブルガリア。こんなにヨーロッパ色の強い連続受賞は今後も現れないだろう。

ちなみにこちらの作品も、自由ポータルでピックアップされた作品。

dailyportalz.jp

 

 

・【必見】令和の男の新三大たしなみ

note.com

作:くもじさん

古き良きオモコロ杯応募作の雰囲気をまとったダンディな一本。

「ダンディとは “海” “車” “言葉” だ」という宣言の元、海でミニ四駆を走らせて習字を書くという荒技に挑戦する。言ってしまえばそれだけの記事なのだが、屈託のなさが良いと思う。ずっと外での撮影なのもプラス要素だろう。明るさは強い武器なのだ。

これは勝手な予想だが、審査員のメンバーも年々すこしずつクレイジーさが減っていて、それに伴って刺さる作品が変わってきていると思う(その上で、「オモコロ杯審査員」というフィルターを自分につけて選んでいる部分があるはず)。
クレイジーさが減って大人になり、自分の子供が成長してきたときにどうなるか? たぶん、明るい作品が好ましく感じられるようになると思う。

そうなったときに、この作品なんかはうってつけな存在なのではないだろうか? 明るくくだらないことをやっていて、読み手が「バカだねー」と笑える記事。こういうのでいいんだよ。解釈ぜんぜん違ったらすみません。

それにしても、風の強いところで習字をやる勇気ってすごい……。

 

 

・川沿いにあるスピーカーの謎を解いたら洪水との戦いが見えてきた

tenyard.hatenadiary.jp

作:あわうみさん

こちらも、昨年の自由ポータルで入選を獲得していた作品。

あわうみさんは2年連続の受賞でもある。それにしても、昨年の防災無線につづいて河川水位警報機とは「お役所の方ですか?」と聞きたくなるお堅いテーマ。と思わせて軽妙な文体でスルスルと読めるので、食わず嫌いせずに読んでみてほしい。

記事では、善福寺川沿いに設置された河川水位警報器が「なぜそこに設置されているか」の理由が明かされる。読んだあと河川水位警報器を見かけたら、おお……ここはもしかして過去に……という思いになることだろう。

noteのほうで2年連続受賞の喜びの想いをつづられているのでこちらもぜひ。
他作品への感想も書かれています。

note.com

 

 

■終わりに

めちゃくちゃ長くなってしまった……。
失礼な感想を書いてしまった作品もあったかと思うが、一文字でも何か参考になったのであれば書いた意味があったと思う。怖いDMとか送ってこないでください。
選外で気になった作品への感想も書こうと思っていたが、それは元気とリクエストがあれば別エントリーで書こうかと思います。

それでは、また面白い世界で会いましょう。

 

END