初めての美容室で人は何を話すのか?
緊急事態宣言が解除され、約二ヶ月ぶりに髪を切った。ボサボサ頭をていねいに整えてもらい、「さっぱりして最高!!!!!」の一言に尽きる。
今回、初めての美容室に行き、担当してくれた美容師さん(30代半ばくらいのお兄さん)と色んな話をさせてもらった。
そこでふと思った。みんな美容師さんと何を話しているんだろう……?
参考にはならないとは思うが、初対面の美容師さんと僕が1時間ほどのあいだにどんな話をしたのか書き出してみたい。 ※散髪についての話は除く
①仕事は何をしているの?
②身体を鍛えているの?
③どこに住んでいるの?
④お昼に何を食べるの?
⑤寒くないですか?
⑥スマホゲームは何を遊んでる?
⑦ラジコンブーム来たる?
⑧1000円カットってどうなの?
⑨休業補償について
⑩パチンコ店スタッフの苦悩
⑪9月入学0年生
⑫娘さんがハマっているもの
⑬ソロキャンプと焚き火
⑭アルコールストーブのすすめ
⑮このビルはバブル時代に建った
なんと、15ものテーマで話していた。次に各テーマの内容を具体的に書いてみよう。
①仕事は何をしているの?
定番の質問。正確には「日焼けされてますが、お外でやる仕事なんですか?」と聞かれた。実は、仕事を辞めてだらだらしてるのだがウソをついてしまった。
「スマホのゲームを作る仕事です。仕事の休憩がてら公園とかをウロウロしてるから日焼けしちゃったんですかねー。」
テレワーク中でZOOM会議をしてるとも言ってしまった。でも、ずっとゲーム業界で働いてきたし、再就職先もゲーム会社だろうからセーフなウソ。
それにしても、言われるまで日焼けにまったく気がつかなかった。買い物ついでに自転車でブラブラすることが多いのが原因だろう。のんきな無職だ。
②身体を鍛えてるの?
たまに言われるのだが、上半身がガッシリして見えるらしい。特に鍛えていないので不思議。少し前までプールに通っていたが、亀のようなゆったり泳ぎだし、筋肉が大きくなるほどの運動量は無い。
ちなみに美容師さんは、仕事が終わったときに、腕よりも足が疲れて棒のようになるそうです。もっと腰掛けみたいなのを積極的に使ってくれていいんですよ……
③この辺りに住んでいるの?
お互いの住んでいる場所の話。僕は美容室から自転車で10分くらいのところに数年前から住んでいて、その前は練馬区。練馬区もかなり良いけど、三鷹市はさらに好きだ。
美容師さんは隣接する府中市から車で通勤とのこと。どの駅からも遠い美容室なので、電車通勤のスタッフはいなくて、みなさん自転車か車だそうだ。なるほど。
④お昼に何を食べるの?
これはこちらからの質問。近くに飲食店が少なく、コンビニもないので聞いてみた。
「僕を含めてほとんどの人がお弁当なり何か持ってきてますね」とのこと。そもそも、昼休みの時間をきっちりまとめて取れることは少なくて、空き時間にササッと食べるそうだ。おつかれさまです。
⑤寒くないですか?
ジャケットを脱いでTシャツ1枚だったので心配された(後半もう一度心配された)。「あ、ぜんぜん大丈夫です」と返事。すごく暑がりなのだ。
じつはしばらく脇汗びっしょりだったのだが、店内は寒かったのだろうか……?
⑥スマホゲームは何遊んでる?
ゲームを作る仕事ということで(今は無職ですが)、今遊んでいるゲームの話になった。
僕は『ミニ四駆超速グランプリ』という、ミニ四駆を鍛えてレースで走らせるゲームをやっていると返答。美容師さんも小さいころに玩具のミニ四駆で遊んだらしく、改造の話などで盛り上がった。
「スマホゲームの基本無料ってどうなんですかねー?」と聞かれ、自分なりの考えを話しておいた。課金は無理のない範囲で。
⑦ラジコンブーム来たる?
ミニ四駆からの流れで、「自粛でラジコンが売れている」と美容師さんが教えてくれた。公園でラジコンで遊ぶ親子が増えているらしい。たしかに他人と触れ合わずに遊べるから良いかもしれない。今の子供には新鮮だろう。
ステイホームの影響で、家でのパン作りが流行ってベーキングパウダーが品薄とも聞く。ラジコンはやや下火の印象があったが、どんなタイミングで何のブームがくるかわからないものだ。
⑧1000円カットについて
僕はこの数年、半月に一度くらいのペースでいわゆる「1000円カット(主に『QBハウス』。今は1200円です)」でソフトモヒカンをキープする生活を続けていた。
その話をすると、「会話とかはほとんど無いんですか?」など雰囲気について聞かれた。美容師さんはQBハウスを利用したことがないらしい。そういうものか。
美容師さんの話だと、QBハウスは以前、カットへのクレームが多くあったことでしっかりとした研修を行うようになったとか。その上、給料はわりと良いそうだ。
「例えばですけど、10分1000円ということは一時間で6000円ですよね。僕らは一時間でお一人の髪を切って4000円ですからね。うーん……」
と、うらやましい面もあるようだった。今は1200円なので、単純な時間あたりの金額だともっと差があることになる。
ただ、ひさしぶりに普通の美容室に来て思ったが、時間をかけて髪を切ってもらい、シャンプーしてもらうのはとても気持ちがいい。4000円はけっして高くない、と感じた。
⑨休業補償について
新型コロナウイルスの影響で、どの美容室も売上面で大きな打撃を受けたそうだ。でもこのお店は、例の「売上が前年比50%以下」という基準に入ったことでスムーズに補償が受けられるそうだ。それは良かった。
緊急事態宣言を受けて、すぐにお店を半月ほど閉めたのが「効いた」そうだ。これは補償を狙ってのことではなく、とにかく感染者を出さないためにそうしたとのこと。
一方、4/7以降も営業を続けた美容室もあり、その結果「ギリギリ50%以上」になってしまう悲劇もあったそう。
これについて、「理容室・美容室に対する要請が曖昧だったのが良くない」と美容師さんは言っていた。確かに緊急事態宣言の後、髪が切れなくなるのでは、と心配する声はネットでもよく見た。
コロナに振り回され、国・自治体に振り回され、客商売は本当に大変だ……。
⑩パチンコ店スタッフの苦悩
同じく休業要請と給付金の話。お客さんの中に池袋のパチンコ店で働く人がいるそうだ。
一部のパチンコ店が自粛要請に従わなかったことで都に店舗名を公表され、ネットを中心にバッシングが起こったニュースは記憶に新しい。
だが、そのお客さんの話によると、勤めているパチンコ店は家賃だけでも数百万円にも及ぶため、店が生き残るには、感染に気を付けながら開店し続けるしかなかったとのこと。
これも国や自治体の補償の問題。改めて、「自粛」の「要請」とはなんだったんだろう……? 結局、現時点でパチンコ店からクラスター発生のニュースはない。
感染予防含めて、真剣にやっているのはパチンコ店も同じだろう。扱いにこうも違いがあると、さすがにパチンコ店がかわいそうだ。
⑪娘さんがハマっているもの
美容師さんには小学一年生になる娘さんがいるそうだ。
「やっぱりもう『プリキュア』とかが好きなんですか?」と聞くと、「プリキュアも観ますけど、なんか実写のを観てますね」とのこと。
調べてみたところ、テレビ東京系列で放送している『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』という番組のことだろうか? 土曜の朝にやっているのを見かけた気がする。
こういうヤツね……と後からWikipediaを見てみたら、総監督がなんと三池崇史。僕も氏の映画『十三人の刺客』など大好きだが、いったいどうやって口説いたんだろう……?
出演者も、小栗旬、斎藤工、関口メンディーといった謎のパワフルキャストが脇を固めており、まったくもって侮れない番組だということが分かって収穫だった。
⑫9月入学0年生
娘さんは小学一年生ということで、コロナでもっとも困っている学年のひとつだろう。なんとか入学式は済ませたが、基本的に5月いっぱいは自宅にいるそうだ。小学校が何かもよくわかっていないと思うのだが、どのように過ごしているのだろう……?
娘さんは無事に一年生になれたわけだが、「9月入学」で子供が学校に入った場合、4~8月のあいだは「0年生」と呼ぶと聞いた。な、なんだそれ!?
⑬ソロキャンプと焚き火
美容師さんはコロナが一段落したらやってみたいことがあるそうだ。それはソロキャンプ。焚き火を楽しみたいとのこと。よくわかりますよ、お兄さん。
お笑い芸人「バイきんぐ」の西村瑞樹やヒロシのキャンプ動画に影響されたらしい。
焚き火には多くの人がぼんやりとした憧れを持っていると思う。僕もこの両芸人の動画を観たことがあったので話が盛り上がった。「近くのホームセンターにキャンプグッズ売り場がありますよ」と教えたら喜んでくれた。
⑭アルコールストーブのすすめ
焚き火はしたいけど、フラッと「近くの河原でやるかー」とはいかないのが現代だ(まさにそれをやりたいのに!)。
そこで、代わりと言ってはなんだが、美容師さんに「アルコールストーブ」を勧めておいた。これは、理科の授業で使ったアルコールランプのアウトドア版みたいなものだ。
直径7~8cm程度のシンプルで頑丈な本体に、ドラッグストアでも買える燃料用アルコールを入れて火をつける。これだけでコンパクトな炎が楽しめる。お湯も沸かせるし、流行りの「メスティン」でご飯を炊くことも出来る。
僕は広い公園の他の人の邪魔にならないところで、アルコールストーブでお湯を沸かしてお茶を飲むことがある。ティーバッグを1つ持っていき、水は公園の水道水で調達だ。途中のコンビニで買ったお菓子でもいっしょに食べると、なんとも言えない至福のリラックスタイムが訪れる。
みなさんにもぜひオススメしたい趣味だ。ただし火事には本当に注意。
美容師さんは「今すぐ買いに行きたいくらい欲しいです!!」と興奮していた。良かった。
※アルコールストーブやバーナーの扱いについては公園ごとにルールが違うので注意。迷惑にならなければOK、という曖昧なルールのところもある様子。
⑮このビルはバブル時代に建った
この美容室が入っているビルの話になった。
少し特徴的なデザインのビルで、存在自体は前から知っていたのだが、美容師さんによるとバブルのころに建ったビルとのこと。
「個性的でお金のかかるデザインのビルは、この不景気だとなかなか建てにくい」とは聞いたことがある。なるほど、こいつが好景気の落とし子・バブルビルか。
お金をかければ良いかというとそんなことは無いだろうけど、お金がかかった建物は「おっ?」と目を引くものがあるのは確か。
なお、このビルは『ポケモンGO』の「ポケストップ」に指定されている。これは今の時代において一つの名誉と言えるのでお金をかけた甲斐があったかも。
色々と話をしてみて
さて、以上が「初対面の美容師さんと1時間で話した会話の内容」だ。美容師さんとの距離感は本当に人それぞれだと思うが、僕がわりと「話させるのが得意」ということもあって、初回にしてはスムーズに会話が進んだように思う。
話してみると意外な発見があったり、興味深いことが聞けることが改めて分かった。こうなると別の美容室の別の美容師さんと話がしてみたくなるなぁ……。
※記事内のイラストはフリー素材サイト『イラストAC』のものを使わせてもらいました
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